活動方針  (2024年度)

「だから、あなたがたは行って、すべての民を弟子にしなさい。彼らに父と子と聖霊の名によって洗礼を授け、あなたがたに命じておいたことをすべて守るように教えなさい。わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる。」 
              
(マタイによる福音書28章19~20節)                     
「あなたがたは地の塩である。」「あなたがたは世の光である。」      
              (マタイによる福音書5章13~14節)

 私達の生活を直撃し、礼拝生活に様々な形で影響を及ぼしたコロナ感染症も、ようやく収束の兆しが見えてきた。一方、世界の各地で心痛む紛争や侵略、権力による弾圧が未だに横行し、民主主義の根幹を揺るがすような事態が続いている。加えて、2024年の初頭に能登半島地震が起こり、大きな被害をもたらしたが、その復興は長い道のりの途上にある。被災地における教会・伝道所の被害も大きく、その支援に心を寄せていくことが求められている。こういう中にあって、ますます福音の確かさによってしか歩むことのできない緊迫感を覚える。教会に託された「主の福音」を宣べ伝えることよって、真の救い、真の光、真の希望を世に指し示していく教会でありたいものである。それは、教会の規模等に左右されないところのすべての教会の「使命」である。
教区は、2024年度も「教団が置いた教区」として、関東教区の各個教会を支え、共に祈り、共に歩んでいきたいと願っている。

Ⅰ.「キリストの体なる教会」(コリントⅠ 12:27)が堅固になるために
1.福音(み言葉)を宣べ伝える 
 ①礼拝の充実 
なんといっても、教会の第一の使命は言うまでもなく「福音(み言葉)を宣べ伝える」ことである。そして、主から託されたこの使命は「礼拝」において最も良くその務めを果たすことができる。礼拝こそが「世に仕える教会」の第一歩である。これは、教会の規模等にかかわらずどの教会にも等しく与えられている使命である。このことを改めて心に刻み、各個教会・伝道所の礼拝が聖霊に満たされて、福音の光を世に照らしていくこととなるように、と祈る。
ついては、礼拝が整えられ、教団の信仰告白に依って立ち教憲教規に基づく①み言葉の解き明かしと②正しい聖礼典の執行がなされていくように。また、乳児から成人までのあらゆる年齢層が礼拝へと招かれていることを覚え、礼拝の工夫をしていきたいものである。一方で、礼拝出席が困難な方たちへの配慮が必要である。コロナ禍で習得したリモートの活用の他、その地域や教会にあった工夫が今後も求められている。
 ②信徒育成
教会の使命のもう一つの側面は「信仰教育」。年齢に応じた学びを提供しながら「信徒が伝道する喜び」を培っていけるように努めたい。信徒の皆さんが、それぞれに遣わされた場(地域、職場、家庭、学校)での信仰の姿勢、隣人を愛する生活が何よりの伝道である。また、若い魂への伝道にも励もう。乳幼児を含む若い人たちへの「主日礼拝への招き」を進めつつ、教会学校の働きも強められるように。宣教部による高校生・青年キャンプなどの活動の再開、また「靖国・天皇制・憲法問題委員会」による若い人たちへの新たな試みに期待する。更に、キリスト教幼稚園・保育施設、福祉施設、キリスト教学校等との連携を強めていこう。
2.主にある交わり
 宣教部による「教区お祈りカレンダー・祈りの課題」を活用し、祈りの連帯を深めていこう。諸教会・伝道所の担っている課題を覚え、具体的な支援を引き続き行うためには、Ⅱにおける「各種支援」を充実させていきたいと願っている。また、地区、教区レベルの修養会や信徒大会の開催、各地区相互の交わりと連携など、信徒の方たちが互いに励まし合える場が尚一層、提供できるとよい。教会婦人会連合の活動や教区の「宣教を考える集い」は既にこれらの良いモデルである。
3.教師(牧会者、教務教師)の研鑽
礼拝にしても牧会にしても教育現場にしても、教師は説教者・牧会者・教育者としての研鑽の充実が求められている。教区教師研修会、各地区教師会、勉強会などが再開し始めた。これらが、ますます活用されることを期待する。出版局発行の出版物が有効に用いられることにも期待する。
4.教会形成
 伝道するには「教会とは何か?」が明確になっている必要がある。教会は、ただの人間の集まりでないことは言うまでもなく、「恵みによって召されたる者の集い」である。主イエス・キリストが教会の中心におられることを常に確認しつつ、教会の秩序が整っていることが大事である。教憲教規に基づく「教会規則」は、教会の土台を堅固にする。牧師が代わっても、また信徒の世代交代があっても、教会が凛としてその地域に立ち続けていられるような教会形成をしたいものである。そのための会計役員研修等がより一層、用いられるようにと期待する。
 しかしながら、現実には、教区諸教会全体の教勢とそれに伴う教会財政は近年、大幅な低下傾向である(関東教区:2012年度は現住陪餐会員6,763名、経常収入計877,753,000円。2022年度は5,647名、724,499,000円。10年で陪餐会員は1,116人減、収入計は153,054,000円減)。その一方で、わずかでも教勢が伸びている教会・伝道所もある。そこで、教勢が伸びている教会・伝道所に学んで、それを参考にして各個教会がそれぞれに工夫することとなるような取り組みをしたいと願っている。具体的には、年度報告書分析と当該教会のインタビューなどを通しての分析を宣教研究所へ委託する。

Ⅱ.互助・支援
1.コロナ支援対策
コロナ支援対策はコロナの収束に伴い2023年度をもって終了するが、全体の財政状況を鑑みて2024年度教会負担金総額は前年度比の2%減とする。
2.ナルドの壺献金による教会互助
  2023年度も教区諸教会・伝道所の熱い祈りと共に「ナルドの壺献金」が献げられ、いくつもの教会がこの「互助献金」によって支えられた1年であった。目標の1,200万円にわずかに届かなかったが、11,383,473円が献げられたことは深い感謝である。とはいえ、ここ数年は目標額に届いていない。その一方で個々の教会の申請額が増える傾向にあり、申請額満額支給をどこまで続けることできるかが課題である。2024年度も、この「ナルドの壺献金」によって教師謝儀互助、緊急互助、教団年金互助、退職金互助を行う。これを互助の4本柱として、今後も関東教区教会・伝道所が支えられ、伝道の推進がなされることを願っている。
3.教団伝道資金の活用による教会支援
教団伝道資金は、各地区の重点伝道のために、教会協力費による教会・伝道所の伝道計画のために、また教区の伝道支援のために用いる。教区互助と共に教会支援のために活用する。
4.奨学金指定献金
 奨学金指定献金を教区全体の課題として取り組み、教師家族の支援を行う。若い人たちへの祈りとご支援をお願いする。
5.会堂・牧師館建築支援基金
 教区で2021年度に取り組みが始まった会堂牧師館建築支援の給付を充実させ、教会建築や大規模修繕時の教会支援に取り組む。
6.災害支援体制
関東教区はこれまで様々な自然災害支援に取り組み、被災支援に全力をあげて取り組んできた。また他教区の支援にも取り組んできた。この度の能登半島地震発災時も、災害支援委員会においてその対応を検討した。今後も各地区との連携を図り、緊急災害時には迅速な初動体制と教区による支援に取り組めるように努めていく。中部教区においては独自に作成した「被災マニュアル」が大いに役立たったとのこと。関東教区としても作成を検討していきたい。また被災教区として脱原発・核の廃止の課題を覚えつつ、よりよいエネルギー資源について考える取り組みを宣教部として継続していく。
7.教区財政、集会や委員会の縮小
 コロナ感染症の収束に伴い、各委員会などの活動が再開されていることは望ましいことであり、対面集会の大切さを改めて認識する一方、前述した通り、教勢低下に伴う各個教会財政の低下は、そのまま教区財政低下となっていることは悩ましいことである。今迄通りの活動を支える財政基盤がこのままでは保証できない現実がある。従って、教区財政縮小を余儀なくされている。加えて、委員会などの活動に参与できるマンパワーも減少している。これらのことを踏まえて、以下の対応を提案する。①経費節減のために、常置委員会をはじめとする会議、集会においてリモートを活用する。(参加者のすそ野が広がるという利点もある!)。②各集会、委員会の活動そのものの見直しをする。③郵送費の高騰に伴い、可能な限りメール発信などに切り替える。

Ⅲ.世に遣わされる教会として
1.罪責告白と沖縄研修
第63回関東教区総会で可決された「関東教区『日本基督教団罪責告白』」が諸教会・伝道所で覚えられ、内容が深められるようにと、2023年度に学習会を企画し、実施してきた。今年度も継続する。合わせて教団全体でも用いられることを祈っていこう。2023年度も沖縄現地研修を行うことができた。それを踏まえて、今後も継続して行う。罪責の視点に立ち、預言者としての務めに仕えていこう。
2.「差別」問題に関して  
 私たちを取り巻く社会情勢は依然厳しく、その厳しさにはじかれて救いを求めて叫ぶ声があふれている。特に「狭山事件再審」の実現にむけての祈りと支援を強めていこう。 
3.教区の豊かさを糧に…
  教区内の東京聖書学校、各キリスト教学校との連携を深めることによって、伝道が推進されていくことを願う。また、アジア学院との連携、在日大韓基督教会やミナハサ福音キリスト教会との交流や宣教協力、教区内宣教師との交流と協力、埼玉中国語伝道所との連携等、教区における日本語教会以外の伝道のためにも仕えていこう。
4.カルト問題について
 昨年度は、教区の学習会を開くことができた。引き続き、情報と理解の共有に努めたい。また、カルト問題についての相談は、教区事務所経由で担当者へ連絡する。

Ⅳ.教団問題の共有
 「教団が置く教区」として、教団問題を共有し、教団の伝道推進(全国の諸教会を覚えて)がなされることを祈りつつ歩んでいこう。今年は教団総会開催年なので、教区主催の「教団問題協議会」を開催し、協議する。また、教団出版局の出版物の活用(特に『信徒の友』)に協力しよう。


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