報告:関東教区社会活動協議会

 2019年9月15日から16日まで武蔵豊岡教会と東松山市の丸木美術館にて、教区宣教部主催社会活動協議会が行われた。1日目には丸木美術館の学芸員岡村幸宣氏の講演を拝聴した。

 岡村氏によると、丸木美術館は丸木位里、俊夫妻が建設された美術館であり、同夫妻作の原爆の絵が中心に展示されている。「原爆の図」は1枚ではなく全部で15作あり、制作期間も約40年と非常に長い、つまり半生涯を通した作品群であるとのこと。丸木夫妻は原爆によって苦しんだ人々を描いてこそ価値があると考え、爆弾を落とした飛行機や瓦解した建物などに関心を寄せていない。この姿勢は生涯変化せず、一貫して被害を受けた人間に着目している。

 原爆の絵が広島や長崎ではなく埼玉にあるのは何故かという疑問が出る。広島市民の感情もあって、あまりに悲惨だった経験に触れたくない、との経緯もあって、丸木氏の故郷である広島の太田川の情景に似ている埼玉県の現在の都幾川沿いに展示場所を求めたとの説明だった。

 2日目には丸木美術館にて岡村氏の案内により、作品の鑑賞をさせて頂いた。「原爆の図」ばかりでなく、「アウシュビツ」「南京虐殺」「三里塚闘争」を題材にした力作の展示もあった。
人々の慟哭、苦しみ、痛みがリアルに伝わるものであった。

 かっては、沖縄、長崎、広島への修学旅行の前の学びとして丸木美術館を訪問する学校が多かったが、近年、中高生等、若い人々の訪問が少なくなって来ているとのことである。また維持管理の経費負担が増大しているとの問題点も指摘された。「他者の痛み」を知らなければならないことを痛切に感じた意義ある学びの時であった。参加29名。

 報告:本間一秀(宣教部社会担当、川口教会牧師)





 
 


 


 


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